ダイレクト デジタル シンセサイザーの制御回路
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DDSの導入
周波数変動のないVFOを作りたい!!の思いは自作ハムなら誰しも持つことでしょう。
私も同じ考えを連綿と持ちつづけて来ました。
色々試みた末、この問題は随分の努力をしてある程度までは目標に近づいても、根本的解決は非常に遠い所にあると認識するようになりました。
DDSが出現して、猛烈ハムのOMがROMにサインウエーブのデーターを書きこんで、マイコンの制御で読み出してVFOを製作された記事をCQ誌で読んで、到底追随の出来ない凄さに呆然としたことがありましたけれど、いつかは私にも手におえるデバイスが出現しそうだ!!と希望を涌かせたことがありました。
私も仕事が忙しくなり、転勤があったりして5年余りのブランクを経て定年を迎え一息つき、さて何で遊ぼうかと思ってトラ技誌をパラパラめくっていましたら これはショック 秋月電子の広告欄にDDSキットが掲載されているではありませんか。猫がまたたびに飛びつく様に前後も考えず早速入手し組み上げました。
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DDSキットを調べました
キットの詳細を知らないまま購入し、説明書通り組み上げて動作させてから、どのように加工して使うかを考えました。
- DDSキットとは別にDDSプラスキットがあって、このDDSプラスキットに組み込まれているPICマイクロプロセッサがDDS LSIをシリアル制御します。
- DDSプラスキットを購入すると、付属している水晶発振器を使用して1ステップ1Hz単位から周波数制御が可能になります。
- LEDディスプレイで、出力周波数が上位,下位,4桁づつ表示できます。
- RIGHT,LEFTと名のついた2つのボタンがあります。
- 押すたびに7セグメントLED周波数表示器のブリンクが右,左とシフトします。
- ブリンクが1番左の時は1ステップ10MHz、1番右の時は1ステップ1Hz変化します。
- 現在1ステップの変化が何Hzの桁なのかを、周波数表示LEDがブリンクして知らせてくれます。
- このボタンスイッチをDDSキットではタクトスイッチと称しています。
- この機能は、私のVFOにとって非常に有効な機能でした。
- 接点式のロータリーエンコーダが付属していて、これを回転させて周波数をアップ,ダウンします。
- 私は重いつまみをつけてビュンビュン回したので、1日で接触不良となりました、無理もありません私の方が無茶をしたからです。
- 通信機のダイアルにするには無接点式のロータリーエンコにするなり、最初から何らかの考慮をする必要があります。
- どのぐらいのパルス速度(周波数)まで応答するかを調べましたら、100Hz程度迄なら応答してくれました。
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DDSキットをVFOに組み込む
DDSの性格が判りましたのでどのようなVFOにするかが決まりました
パネル面コントローラーの写真でほとんどお判りいただけるでしょう
- DDSプラスキットの入出力端子と機能
- ロータリーエンコーダー入力端子 RA 1(周波数UP), RA 0(周波数DOWN)の2端子
- 1ステップで変化する周波数桁設定端子 RA 3(Right Shift), RB 0(Left Shift)の2端子
- 周波数表示LEDへの出力端子 11端子(設定された周波数桁がブリンクする)
- 周波数制御はプッシュボタンでUP,DOWNすることにし、ロータリーエンコーダー入力端子に低周波発振器からパルスを送り込むようにしました。
- キットに付属している周波数表示器はパネルに出すと、現在送受している周波数と無関係なものを表示することになるので、出さないことにしました。
- 1ステップで変化する周波数桁をタクトスイッチで選択する必要がある。
また現在1ステップいくら変化するのか知る必要がある。
上記した2つの必要事項から
- 周波数表示器の出力からブリンクの情報を取り出し、操作パネル上に設けた4つのLEDのうち選択された桁をブリンクして、現在位置を表示させました。
- 右,左の端ではタクトスイッチを押してもそれより外へはシフトしないように動作を制限しました。
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- 電源は+5Vが手近にないので自蔵する必要がありました。
- 電源ONで自動的に7.3MHz(50.15MHz)が立ち上るようにしました。
- 私にマイクロプロセッサの制御プログラムが作れるものなら、PICマイコンを使ってコンパクトな制御器が出来上がったことでしょうが、私にはその勉強が全く出来ていないので、オーバーなことになるCMOSロジック回路を作って制御するしか方法がなく、それでもDDSの魅力に引かれ覚悟して製作しました。
CMOSロジック回路も考え始めると、頭の体操みたいで面白く、結構楽しめました。
- 参考資料は CQ出版社刊 ’96最新74シリーズIC規格表’です。
- RIT操作は受信時トランシーバーのVFOを使うことにし、トランシーバー本体にリレー切換回路を設けました。
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DDSキット
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回路図の説明
CMOSロジック回路は色々な機能を持つICが存在して選択の自由度があり、コンピユータほどではないにしても、回路を考えるとき個性に大きく左右される面白さもあり、私のような融通の利かない頭で考えた回路など参考にもなりませんが、ざっと説明します。
- 回路図右上部について
- 右端にDDSプラスユニットの制御入力部があります。端子の数字はPICマイコンのピンナンバーです。
- 6番,7番ピンはロータリーエンコのパルス入力です。
- 7番ピンには周波数UPのパルスを入力します、このとき6番ピンはグラゥンド電位又は進み位相のパルスを入力します。
- 6番ピンには周波数DOWNのパルスを入力します、このとき7番ピンはグラゥンド電位または進み位相のパルスを入力します。
- 6番,7番ピンの前に3入力NOR回路を置いて、周波数UP,DOWN、ステップUP,DOWN、自動周波数セット、のパルスを入力します。
- UP,DOWN,STEPの3つの押しボタンスイッチで周波数の制御をします。STEPボタンを押したままでUPまたはDOWNボタンを押すと、1ステップづつ周波数を変えることが出来ます。最小間隔は1Hzです。
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- 回路図右下部について
- 右上部DDSプラスユニットの 9,10番ピンはタクトスイッチのパルス入力です。
このピンに1発づつパルスを入力すると、6,7番ピンに1発のパルスを入力した時の周波数変化を 1KHz,100Hz,10Hz,1Hz の4段階に選択できます。
- RIGHTボタンを押すと1桁づつ低い方へシフトします。LEFTボタンを押すと1桁づつ高い方へシフトします。
ダイヤルサーチのスピードを変えるにはこの押しボタンを押して選択します。
- 左下部にDDSプラスユニットの周波数表示用7セグメントLEDドライブ出力ピンを並べています。
私がここから必要とする情報は、現在どの桁がブリンクしているか、と言うことです。
- 15,16,17,25番ピンは4個ある表示器のコモンです、22,24番ピンはセグメントの一部です、この6箇所で点灯情報はすべて得られます。
- 点灯情報はフォトトランジスタで受けてRetriggerable Single Shotマルチ 74HC123でブリンクしている桁を検出し、パネルのLEDをブリンクさせています。
- 更に タクトスイッチを数多く押しすぎても、これ以上の桁へ行かないよう、右限と左限はもう一つマルチを入れて動作を制限しています。
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- 回路図左上部について
電源ON時の自動周波数セット回路です。
- 50Hzの低周波発振器出力をカウンター 74HC193 に入れ、BCDコードの出力を、BCD to DECIMAL Decoder 74HC42 を2個ならべて16個のパルスを取り出して、周波数UP入力と桁移動入力(タクトスイッチ)に順次に加え7.3MHzにセットします。
- DDSプラスユニットは電源ONで1MHzで立ち上るようにプログラムされているので、あと6個のパルスがあれば7MHzが出ます、次の1個のパルスでタクトスイッチを1桁下げ、その次の3個のパルスで300KHzをセットして、7.3MHzがセットされます、その次の3個のパルスでタクトスイッチの桁を100Hzに下げ、残りの1パルスで50Hz発振器をストップし117Hz発振器に切り換えます。
- 自動周波数セット時、発振器周波数を50Hzにする理由は、117Hzでは動作がやや不確実になるためです。UP,DOWNサーチ時は117Hzで充分応答します。
117Hzと言う数は、ほんとは100Hzにしたかったのですが、切りのよい部品定数で作ったらこの周波数になっただけのことです。
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使 用 感 想
- 当然のことですが、水晶発振器がクロックですから、周波数変動は全く感じられません。
- 一番心配した飛び込みは、バンド中をサーチすると結構あります。
読み出しクロックの一部が、周波数を変える際の組み合わせによって飛び込むものと思われます。
ただし ほとんどは1ステップずらせば消えてしまうので、実害になりません。
実用し始めてからこれまでに妨害をこうむったことは皆無です。
高周波出力の同軸ラインや電源ラインには、コモンモードフィルターを挿入しているので、強力に飛び込むものが少ないためかも知れません。
- バンドをサーチする際、ダイアル操作と同じような感覚になることが目標でした。
操作パネルには1KHz,100Hz,10Hz,1Hzの1ステップ桁選択スイッチ(タクトスイッチ)を出し、これを100Hzのパルス発振器でドライブして、高速から低速まで適宜選択することにしたのは、ほぼ正解でした。
- ハードロジック回路を穴あき基板に組み立てたことと、電源自蔵にしたために、大きめのものになったのがいささか辛い感じです。
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編集後記
この項終り